旅のはじめに
世界遺産はユネスコの世界遺産リストに登録された遺跡や景観そして自然などで、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」をもつ不動産を指す。内容によって以下の三種類に大別される。
文化遺産
世界遺産条約では、文化遺産は次の3つのいずれかに分類されることになっている。それぞれにおいて顕著に普遍的な価値を有していることが大前提となる。
記念工作物 (monument)
歴史上や芸術上、その記念碑的価値の認められた建造物などを対象とする。具体的には、ケルン大聖堂(ドイツ)など、単独の建造物として登録される物件はこれに分類されるのが普通である。建造物群 (group of buildings)
単独の建造物でなく、複数の建造物群が一群として評価されたもの。具体的には、ポルト歴史地区(ポルトガル)のように町並みなどが登録される場合には、これが適用される。また、 ベルギーとフランスの鐘楼群のようにまとまった景観を形成していなくても、「建造物群」としてカテゴライズされる。サイト (site)
建造物にとどまらない地域一帯が対象となる場合などに適用される。なお、このカテゴリーは日本語文献では「遺跡」と訳されることが多いが、日本語で一般的に言う「遺跡」とは若干意味が異なる。確かに、ジェームズ島と関連遺跡群(ガンビア)やキルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群(タンザニア)など、過去の栄華を偲ばせる物件があるのも事実だが、フィリピン・コルディリェーラの棚田群のように現存する農業文化の継承地域も含まれているのである。自然遺産
自然遺産はIUCNによる自然保護区域分類が行われるのが普通である。 カテゴリーは以下のとおり。
・厳正保護地域 - ゴフ島野生生物保護区(イギリス領)、マデイラ島の照葉樹林(ポルトガル)、ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区(マダガスカル)
・原生自然地域 - 白神山地(日本)
・国立公園 - シミエン国立公園(エチオピア)、イエローストーン(アメリカ合衆国)、グロス・モーン国立公園(カナダ)
・天然記念物 - 黄龍の景観と歴史地域(中国)、ハロン湾(ベトナム)
・種と生息地管理地域 - エオリア諸島(イタリア)、シュンドルボン(バングラデシュ)、ヴァレ・ド・メ自然保護区(セーシェル)
・景観保護地域 - ピアナのカランケ、ジロラータ湾、スカンドーラ自然保護区を含むポルト湾(フランス)、武陵源の自然景観と歴史地域(中国)、グレート・バリア・リーフ(オーストラリア)
・資源保護地域 - ワディ・アル・ヒタン(エジプト)、ンゴロンゴロ保全地域(タンザニア)、雲南保護地域の三江併流群(中国)の一部
・その他 - アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群(ハンガリー / スロバキア)、オーストラリアの哺乳類化石地域、四川省のジャイアントパンダ保護区(中国)
複合遺産
複合遺産は「文化遺産」「自然遺産」それぞれの登録基準のうち、少なくとも一項目ずつ以上が適用された物件をいう。言い換えれば、一帯の自然環境と、そこでの人間の文化的営為が、ともに顕著に普遍的な価値を有するものと認定されることが必要である。 登録基準の適用は、バンディアガラの断崖(マリ共和国)やウィランドラ湖群地域(オーストラリア)のように、文化・自然とも一項目ずつ登録基準を満たしているにとどまるものもあれば、タスマニア原生地域(オーストラリア)や泰山(中国)のように7項目を満たすものもある。ただし、登録基準10項目全てを満たす物件は2006年時点では存在しない。